2013年5月24日金曜日

体育会系ロボット学に出席しました。

https://www.uchida.co.jp/seminar/130521/index.php


「守破離」-ロボットの運動知能(京都大学・松野 文俊 氏)、人間のプライド(公立はこだて未来大学・松原 仁 氏)、現象学的にロボット学を捉えると?(大阪大学大学院・大須賀 公一 氏)、想定外シミュレータ(産業技術総合研究所・野田 五十樹 氏)、消えるロボット(慶應義塾大学・稲見 昌彦 氏)の5つの講演を聞いた。

この登壇者5人のうち4人が体育会系の出身だからこの名前がついたらしい。プレゼンで決まっているのははじめに自分の運動歴を紹介する事と、そことつなげて自分の研究を紹介する、ということだったのだと思う。

個人的には松野氏と松原氏のお話がおもしろかった。松野氏は生物の動きをロボットで再現する、という例をいくつか話してくれた。最初に運動部の大車輪、蛇、そして、群れで動くアリ。群れで動くアリに関しては単体での動きではなく、近くにいるアリと情報をやりとりし、近くにいるアリとの状況を保とうとする事、例えばある一定の距離を守るということ、によって、全体の動きがうまくいく(例えば全員、障害物がよけられる)。

これらは動きを同制御するか、であって、自分の身体にあった運動をするという性質は現れていない。そこで、学習するロボットというのを作ったらしい。それは繰り返し失敗を繰り返して目標を達成するというプログラムなのだけど、四肢のついたロボットが大車輪ができるようになる例が紹介された。そうするとモーターの位置の関係なのだと説明されていたが、人間のやる大車輪と違う大車輪をロボットはするようになる。

松野氏が言っていた「知能は身体に宿る」、「集団の群れの知」というキーワードがとても気になった。

続く松原氏はコンピュータ将棋の話をするのだが、計算主義の立場から言うと人間がコンピュータに将棋で負けるのは当然だったと話しをされていた。それはそうだな、と思うのだが、チェスのチャンピオンと将棋の選手の違いの話しで、チェスのチャンピオンには栄養士やコーチが着いて、試合前にはホテルの1フロアを貸し切って準備するという話が、本当かどうか調べていないが、面白かった。身体を使ってする作業であるかぎり、知能を使ってする作業である限り、どちらのコンディションの調整も大事なのだと感じられた。

体育会系といってもスポーツのときはめちゃくちゃ頭をつかっているし、頭脳系といってもアウトプットの際は身体をつかうわけだから、どちらも切り離せないのが当たり前のわけだ。

そこにきて、どちらに偏ると人間は簡単にコンピュータに負けてしまう可能性があるのだと思った。力や速さでは当然、コンピュータの制御するマシーンにかなわないし、将棋やチェスだってコンピュータのプログラムにはかなわない。でも、まだ、どちらもバランスがとれて出来る人はコンピュータにはまだまだ負けないだろうな、と感じた。

あとは大須賀氏のシュミレーションの話もおもしろかった。人間が気づかないボトルネックをシュミレーションをすることで発見する事ができる。でも、それは実際の状況ではないので、あくまでもシュミレーションだと思って人間は柔軟に対処できないといけない。でも、失敗は小さくすることができる。

頭脳と身体、両方とも鍛えていく事、その上でコンピュータを利用する生活、というのが一番賢いし、めざすところだと思いました。

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